1. ビジネス編
1-1. 問題提起

サービスを一言で言うと「AIがテキストを音読する音声付き電子書籍」です。
「活字が苦手で読書に手を出しにくい」という課題を解決します。
生成AIを使って音声とテキストをインタラクティブに連動させ、新たな読書体験を提供したいと考えてます。VoNoは「音声×テキスト」を組み合わせ、聴覚と視覚を同時に活用することで理解を深める新しい読書体験を提供します。
1-2. 市場調査

音声付き電子書籍の市場規模は200~250億円前後です。VoNoはこのうち10%の顧客獲得を目指して、20億円の売上、5億円程度の利益創出を目指します。さらに、オーディオブックや電子書籍市場は年々拡大傾向にあり、事業展開に有利な状況です。
1-3. ビジネスモデル

出版社に対して営業を行い、書籍のライセンス契約を締結します。その後、出版社から提供されたテキストデータをもとに、音声AIを適切に使い分けて音声を生成します。音声とテキストを同時に提供することで、新しい形の電子書籍として展開していく予定です。
また、将来的にユーザー数が拡大した場合、広告収入も収益源として見込んでいます。出版社が訴求したい書籍については、広告出稿による月額課金モデルを想定しています。
2. デザイン編

VoNoは、音声AIとデザインの力で、物語をもっと身近でエンターテインメント性の高い体験へと再定義することを目指しています。
VoNoが目指す「読む」から「体験する」読書への進化を視覚的に表現して、読書にハードルを感じる人でも直感的に楽しめる世界観を作り出しています。
2-1. UIデザイン
TOPページ、商品詳細ページ

従来の電子書籍と差別化し、発見が楽しいトップと直感的な絞り込みで回遊性を高め、情報量の多い詳細画面では視線誘導と評価設計で迷わない体験を提供するUIを表現しています。一貫した世界観でまとめました。
会員登録・ログイン、ビュアーページ

複数端末での利用を前提に、最小限のプロフィールから好みを学習。閲覧時は物語に没入できる配置と邪魔しない操作性で体験を支え、動画のような世界観で設計しています。
その他

購入から管理、情報受信、個人調整までを一つの流れで設計。安心して使い続けられる体験を目指し、日常的に開きたくなるUIにまとめました。
ワンポイント解説【クリップ機能】

読書体験の中で心に残った一節を切り出し、手軽に動画として共有できる機能です。 作品の魅力を自然に広げながら、ユーザー参加型で認知と利用を伸ばす導線を目指しています。 X上で本のスクリーンショットが共有されている文化から着想を得ました。
2-2. デザインプロセス

すべてを詳しく解説すると分量が多くなるため、今回の記事ではプロセス全体の中でも特に重要な色付きのステップに絞りお伝えします。
目標の定義

ユーザーの気持ちに寄り添い、どのような人が、どんな思いでこのページに辿り着いたのかを考えたうえで、目標を設定しています。
OOUI

OOUIで操作対象を整理することで、ユーザーがUIを直感的に理解でき、迷いのない体験を実現。あわせて設計意図を言語化し、チーム間の共通認識と将来の拡張性も高めています。
パターン出し

パターンを数多く出すことで、単に選択肢が増えるだけでなく、デザインそのものの熟練度も高まっていきます。試行錯誤を重ねる中で判断の精度や引き出しが増え、次第にアウトプットの質も底上げされ、より完成度の高い案を生み出せるようになります。
デザイン解説

実装時の制約も踏まえながら、体験として最適になるようブラッシュアップを重ねています。
例えば、30秒巻き戻しのような機能は、UX面での必然性に加えて実装難易度も高かったため、今回は採用を見送りました。代わりに、一つ前のセリフへ戻るボタンを実装しています。
ビュアー機能は、以下のリンクからご確認いただけます。ぜひ実際にお試しください。
※ ブックマークとしおり機能は、会員登録が必要です
3. 開発と事業の振り返り
3-1. 開発
技術スタック

スタートアップとして最速で価値検証を行うため、学習コストと実装効率を重視した技術選定を行いました。将来の拡張余地を残しつつ、まずは「作って試す」スピードを最大化する構成です。
ビュアーの設計思想

VoNoにおける最も重要な機能がビュアー機能です。この機能について技術的な観点から解説します。
VoNoの中核となるビュアー機能では、音声データとテキストデータを文・フレーズ単位で1対1に紐付けて管理する設計を採用しています。これにより通信コストを抑えつつ、キャラクターや属性に応じた音声AIの切り替え、声質の差し替え、任意区間のクリップ化などを基盤構造を変えずに実現できる拡張性を備えています。
3-2. 事業の振り返り

VoNoでは、書籍IPの契約獲得が事業上の大きなボトルネックとなりました。
出版社にとって最も重要なのはIP価値の維持であり、たとえ高コストであっても、声優を起用した高品質な音声制作を求めるケースが多くありました。さらに既に声優プロダクションとの関係性を持つ出版社も多く、音声AIを前提としたVoNoの提案は、受け入れられにくい側面があったと感じています。
また、BtoCとBtoB(出版社)を同時に成立させるビジネス構造自体の難易度も課題でした。 出版社との契約が進まなければユーザーは集まらず、ユーザーがいなければ契約交渉も進まないという、典型的なジレンマに陥っていました。
今振り返ると、まずは toBまたはtoC単体で成立するビジネスモデルを先に成功させるべきだったと思います。
今後について
VoNoは事業としてはうまくいきませんでしたが、取り組む中で得られた学びは非常に大きく、特に自分がデザイン領域に強みを持っていると明確に自覚できたことは、大きな収穫でした。
現在は、プロダクトデザイナー/UI・UXデザイナーとしての就職を見据え、ポートフォリオ制作に取り組んでいます。
また次に挑戦するアプリとして、VoNoでの反省を踏まえ、toC向けの占いアプリの設計に着手しています。
まずは現場で経験を積みながら、デザインの解像度をさらに高めていきたいと考えています。
